石井パルサーポンプ

エネルギーと労力節減のポンプシステム

舶用ディーゼル機関用の冷却海水ポンプのヘッド(水頭)及び容量は機関の最大続航状態で計画されており、ポンプは海水温度32℃、すなわちペルシャ湾での海水温度という条件下で機関の冷却を可能としている。

ご存知のとおり、海水温度は航路によって大きく異なる。 例えば、冬期の北大西洋では海水温度は0℃ 近い。その多くの場合、過冷却を避けるため、多量の海水をバイパスさせ無駄にしている。
Fig.1 は海水温度と必要海水量との関係を示す。

一方、ポンプの必要な動力は回転数の3乗に比例する。従って、冷却水量を回転数で制御できれば大きなエネルギーの節減になる。Fig.2 は回転数を変化させた時の容量と動力の関係である。

他のエネルギー節減方法、即ちポール数変更する方法は効果に限界があり、また渦電流カップリング制御方式はエネルギー節減が少ない割にコスト高である。これらに比べ我社のシステムは高効率のインバーター制御で、最近開発されたメインテナンス・フリーのポセイドン・マーク3で構成され、適正なコストで大きなエネルギーと労力の節減となる。

Fig.1とFig.2


システムの概要

Fig.3 はシステムを示す線図である。システムは下記のもので構成される。

温度センサーは冷却海水出口管の適当な個所に設置し海水温度を感知する。
PIDコントローラーは海水温度が継続的に、正確に設定温度になるようにポンプの回転数を調整する。

本システムの利点

  1. ポンプ:最近開発されたポセイドン・マーク3 竪型渦巻きポンプは高効率、長寿命でしかも開放が容易である。 Fig.4 は断面図を示す。
  2. 最近開発されたVVVF型インバーターは完全に且つ継続的に回転数を制御できる。また、高効率、高信頼性、且つ長寿命である。
  3. ポンプの僅かな開放スペース及び小さなインバーターはコンパクトで小スペース化を可能とした。

Fig.3・Fig.4


エネルギー節減の例

13,000HPディーゼル機関の通常運転において、冷却海水ポンプの仕様が、

800m3 / hr × 18m × 1800min-1 × 50KW

航行状況が、

海水温度 20℃
出力 最大続航出力の85%
必要海水量 計画条件の40%
回転数 計画回転数の70%
必要出力 19KW
節減出力 31KW

年間航行日数250日とした場合、重油の節減は約35Ton / 年となる。